工事写真管理ソフト比較|現役の施工会社がおすすめを解説
- さくら 及川
- 6 日前
- 読了時間: 13分

工事写真管理ソフトとは、施工現場で撮影した工事写真を効率的に整理・共有し、
品質管理や竣工検査に役立てるソフトウェアのことです。
近年は国交省の提出要件として「電子小黒板」対応も必須化されつつあり、
クラウド保存による共有性が求められています。
本記事では、全国300現場の写真整理を代行してきた土木施工会社の視点から、
現場で本当に使いやすい工事写真管理ソフトを比較・解説します。
工事写真管理ソフトを導入するメリット
工事写真管理ソフトを導入するメリットは大きく分けて4つあります。
効率化
工事では1現場あたり数千枚~数万枚規模の写真が発生します。
ソフトを使うことで写真台帳作成が自動化され、
整理の工数を最大70%削減できます。
品質管理
写真が体系的に整理されることで、後工程や検査での不備を防ぎます。
特に鉄筋の出来形管理やコンクリート打設前後の記録など、
施工品質の裏付けとして重要です。
国交省提出要件対応
国土交通省が定める「電子納品要領」に準拠した形式で写真整理が可能です。
黒板情報を自動で台帳化できるソフトは、発注者対応をスムーズにします。
クラウド保存による共有性
クラウド型ソフトを使えば、事務所と現場のスタッフがリアルタイムで情報を共有できます。検査官が遠隔で確認できる事例も増えています。
👉 工事写真管理ソフトの導入は、
「時間短縮」「品質確保」「発注者対応」「チーム連携」の4本柱を強化する手段です。
工事写真管理ソフトの選び方のポイント
工事写真管理ソフトは数多く存在しますが、以下の観点で比較することが重要です。
使いやすさと操作性
ソフト選びの最大のポイントは現場スタッフが直感的に使えるかです。
現場はPCに不慣れなスタッフも多く、アプリが複雑すぎると導入効果が出ません。
👉 導入前に「無料体験版」で操作性を確認することをおすすめします。
クラウド連携とデータ共有機能

クラウド連携とは、インターネットを通じてデータを共有できる仕組みです。
現場と事務所間の距離がある場合や、協力会社が複数関わる場合に必須機能です。
👉 遠隔地の関係者ともリアルタイムで情報共有できるソフトを選びましょう。
国交省「電子小黒板」対応の有無
電子小黒板とは、タブレットやスマホ上で黒板情報を表示し、
写真と一体化できる仕組みです。
非対応ソフトでは検査対応に支障をきたすため、必ず確認しましょう。
👉 電子小黒板対応ソフトを導入すれば、発注者とのやりとりもスムーズになります。
コストとライセンス体系
導入費用は月額1,000円程度の安価なものから、
年額数十万円の高機能ソフトまで幅広いです。
ランニングコストだけでなく、ライセンス数(利用者数制限)も確認しましょう。
👉 社内人数に応じた最適なプランを選ぶことが重要です。
主要な工事写真管理ソフトの比較一覧
ここでは、現場でよく利用される代表的なソフトを比較します。
SiteBox(KENTEM)
1. 操作性・使いやすさ
現場スタッフがスマートフォン1台で撮影・記録操作が完結できる設計です。
黒板や手書きが不要なため、持ち物を軽減し、安全性も向上しています。
写真や黒板、注釈をSVG形式でレイヤー化し、表示ON/OFFで切り替えられるため、視認性の高い編集が直感的に可能です。
2. 電子小黒板対応
スマホ画面上で黒板の内容(出来形データなど)を編集・表示でき、
手持ちが不要・手書き不要の効率的な撮影が可能です。
改ざん検知機能も搭載されており、電子納品時の信頼性確保にも配慮されています。
SVG形式の電子小黒板は注釈や略図の自由なカスタマイズ・レイヤー切替に対応。
柔軟な現場対応が可能です。
3. クラウド連携・データ共有
撮影・記録したデータはKSデータバンクというクラウドサーバへ保存され、
紛失リスクを低減します。
「デキスパート」など他システムとクラウド経由で双方向同期が可能です。
事務所側での修正もリアルタイムに反映できます。
4. 写真台帳作成の自動化レベル
「写管屋」で事前に作成した分類ツリーを利用し、
現場での撮影時に自動振り分けが可能。写真整理の効率が大幅にアップします。
帳票(出来形・品質)も自動作成されるため、
事務所側での事務作業負荷を軽減します。
5. コスト・ライセンス体系
初期費用は無料。
SiteBox本体は年間 13,200円/1ライセンス(税込)。
KSデータバンクは10GBまで年間6,600円(税込)、追加も同額で対応可能。
5ライセンスセット購入の場合55,000円(税込)というおまとめパックもあります。
6. 導入実績・サポート体制
「NETIS登録商品」であり、土木公共工事での利用実績がある信頼性の高い技術です。
KENTEM(株式会社建設システム)による電話・リモートサポート(PCのみ)も
提供されています。
7. 他システムとの連携性
「写管屋クラウド」や「デキスパート」シリーズとの連携により、
分類構成・工種・数値データの共有がスムーズに行えます。
写真の自動振り分け、帳票生成機能など、
他システムとの協調で作業合理化が進みます。
まとめ
比較項目 | 特長 |
操作性・使いやすさ | スマホ1台で現場完結。直感操作とレイヤー編集で視認性◎ |
電子小黒板対応 | 手待ち省略/改ざん検知/SVGで注釈・略図の柔軟カスタマイズ可能 |
クラウド連携・共有 | KSデータバンク+デキスパート同期でデータ共有・修正のリアルタイム反映 |
台帳自動化レベル | 分類ツリー活用で撮影時に整理。一括帳票生成可能 |
コスト・ライセンス | 初期無料。13,200円/年・ライセンス、クラウド容量とセットで柔軟対応可能 |
導入実績・サポート | NETIS登録・公共案件対応実績あり。電話・リモートサポートあり |
他システム連携性 | 写管屋・デキスパート連携により情報共有・整理自動化が強力 |
現場効果 | 工数削減、加点効果、書類質向上など具体的な導入効果事例が多数報告 |
EX‑TREND 武蔵(福井コンピュータ)
1. 操作性・使いやすさ
直感的なドラッグ&ドロップ操作で写真の整理が可能。
フォルダ管理を写真ツリー形式へ簡単に反映できます。
スマホやデジカメで撮影した写真をWi‑Fiで転送し、
工種・種別・測定箇所ごとに自動振り分けでき、現場での入力作業を効率化します。
2. 電子小黒板対応
電子小黒板アプリからの取り込みに対応し、
小黒板情報を電子的に写真へ反映できます。
改ざん検知機能(信憑性確認)に対応し、電子納品の提出品質の信頼性を確保します。
3. クラウド連携・データ共有
情報はローカル主体の施工管理システムとして提供されており、
明確なクラウド同期機能の記載は見当たりません。
しかし、スマホ転送やWi-Fi経由での入力など、現場とのデータやり取りを
柔軟にサポートします。
4. 写真台帳作成の自動化レベル
写真管理機能で工種ごとの分類や測定箇所での振り分けが可能で、
整理の手間を軽減します。
SVG形式対応により、注釈や黒板情報をレイヤー化して編集・表示切替でき、
自由度の高い成果物作りが可能です。
5. コスト・ライセンス体系
具体的な価格情報は見当たりませんでした(要問い合わせ)。しかし、NETIS登録技術であることや公共工事への対応実績などから、導入価値が高いオールインワンシステムとして提供されていると推測できます。
6. 導入実績・サポート体制
全国の約半数の都道府県で導入実績ありとされており、
公共工事実務で幅広く用いられていることが分かります。
NETIS登録技術として「工事成績アップ支援技術」にも認定されており、
公的評価も得ています。
サポート体制についての詳細情報は少ないですが、
安定した導入実績から一定のサポート体制が整備されていると考えられます。
7. 他システムとの連携性
測量計算、CAD、出来形管理、品質管理、電子納品など多機能パッケージとして
提供されており、施工管理業務を一貫して支援できる設計です。
EXCELとの連携機能もあり、作成データのインポート・エクスポートが可能。
書類管理や既存ワークフローとの接続もスムーズです。
まとめ
項目 | 特長 |
操作性・使いやすさ | ドラッグ操作・Wi-Fi転送対応で現場作業が効率化 |
電子小黒板対応 | 電子小黒板対応+改ざん検知機能で安心の電子納品 |
クラウド連携・データ共有 | ローカル型だがWi-Fiやスマホ活用でデータ連携柔軟 |
写真台帳自動化レベル | 振り分け分類・SVG対応で自由度高い整理が可能 |
コスト・ライセンス体系 | 公共仕様対応・高評価の反面、価格は要問い合わせ |
導入実績・サポート体制 | 全国多数導入・NETIS登録技術で信頼性高い導入実績 |
他システムとの連携性 | CAD・出来形管理・品質管理などとの統合環境あり |
蔵衛門(株式会社ルクレ)
1. 操作性・使いやすさ
直感的なインターフェースで、現場に馴染みのある「本棚」UIや
ウィザード形式の工事登録により、誰でも使いやすい設計です。
台帳作成時には「手めくり感覚」で操作でき、編集や仕分け作業もスムーズです。
2. 電子小黒板対応
『蔵衛門Pad』や『蔵衛門工事黒板』と連携し、
電子小黒板入りの写真からワンタッチで台帳を自動作成可能です。
J‑COMSIA改ざん検知機能にも対応し、電子納品時の信憑性を確保できます。
3. クラウド連携・データ共有
『蔵衛門DX』ではクラウド本棚機能を使って、
写真や台帳をリアルタイムに共有・編集可能です。
『蔵衛門クラウド』は、電子小黒板の情報や撮影条件をもとに
AIが自動仕分けするなど、高度なクラウド機能を備えています。
4. 写真台帳作成の自動化レベル
撮影写真は工種や撮影場所ごとに自動振り分けされ、
台帳に文字情報も自動で流し込まれます。
最新版には、AI仕分け(仕分けAI)が登場し、
撮影した写真を自動的に仕分け&台帳作成まで行います。
5. コスト・ライセンス体系
Standard版と高機能版(Professional)など、必要に応じたプランが選択可能です。
NETIS掲載・VE最高評価取得により、公共工事での加点評価が期待でき、
導入価値が高い点も注目です。
6. 導入実績・サポート体制
NETIS登録・VE評価取得で公共工事対応実績が豊富な信頼あるシステムです。
『蔵衛門プレミアム』では、操作方法の相談から電子納品まで、
無料サポートが受けられます。
7. 他システムとの連携性
『蔵衛門御用達』は電子小黒板撮影アプリと連携し、
出来形管理図表や電子マーカー(図形注記)を含む成果物作成も可能。
複数階層の本棚管理やツリービューなど、
工区・工種ごとの整理や俯瞰表示にも優れています。
まとめ
比較項目 | 特長 |
操作性・使いやすさ | 本棚UI、ウィザード形式、手めくり感覚で誰でも使いやすい |
電子小黒板対応 | アプリ連携・文字自動反映・改ざん検知対応 |
クラウド連携・共有 | DX版のクラウド本棚、クラウドAI仕分け機能あり |
台帳自動化レベル | 自動振り分け・仕分けAIによる高度な整理支援 |
コスト・ライセンス体系 | Standard/Professionalから選択可能、公共工事対応に強み |
導入実績・サポート体制 | NETIS・VE評価、無料サポートあり |
他システム連携性 | 電子マーカー・出来形管理・ツリー表示・本棚共有可 |
その他(無料アプリや小規模向け)
GoogleフォトやOneDriveを代替活用する現場もありますが、
電子小黒板対応ができない点が大きな制約です。
👉 本格的な工事管理には専用ソフトの導入が無難です。
工事写真管理ソフトを比較する際の注意点

1. 無料版と有料版の違いを見極める
無料版ソフトは魅力的に見えますが、保存容量や機能制限があるケースが多く、
商用利用や公共工事には不向きです。
例えば、ある舗装工事の現場(施工人数12名)では無料アプリを利用していましたが、
容量制限で半年分の写真を保存できなかった
電子小黒板に非対応で、発注者から再提出を求められた
という問題が発生し、最終的に有料ソフトへ切り替えることになりました。
👉 「初期コストを抑えたい」よりも「長期的に安定運用できるか」で判断することが重要です。
2. 社内規模・工種による適合性
工事写真管理ソフトには、小規模工事向けのシンプルな製品から、
大規模インフラ向けの高機能製品まで幅があります。
小規模現場(住宅造成など)
→ 操作が簡単・コストが安いソフトが適している
大規模現場(橋梁・道路改良など)
→ クラウド連携・電子小黒板・自動台帳機能が必須
👉 「現場の規模」と「スタッフのITリテラシー」に応じたソフトを選ぶことで、
無駄な機能コストを避けられます。
3. 既存の施工管理システムとの連携性
写真管理ソフト単体では便利でも、他システムと連携できないと二重入力が発生します。
特に出来形管理や品質管理システムを使っている企業では、データ形式(CSV/Excel/PDF)が一致しないと業務効率が落ちます。
👉 契約前に必ず「自社で使っているシステムとの連携可否」を確認しましょう。
4. 電子小黒板対応の有無
国交省の「電子納品要領」に対応していないと、
検査時に追加作業や再提出が発生する可能性があります。
例えば、電子小黒板非対応ソフトで撮影した現場では、
写真1,200枚を手作業で黒板情報入力し直すという大きなロスが発生しました。
👉 公共工事や発注者指定案件では、電子小黒板対応は必須と考えてください。
5. サポート体制の有無
ソフト導入後に多いのは「使い方がわからない」「トラブル時の対応が遅い」という問題です。電話サポートやオンラインマニュアル、リモート対応があるかは重要な比較ポイントです。
👉 特に現場の繁忙期(舗装シーズン・年度末工事など)にサポートが迅速かどうかで生産性が大きく変わります。
6. コストの見積もり方
工事写真管理ソフトの費用は「月額制/年額制」「アカウント数/現場数」で変わります。
例)とあるソフト
1ライセンス:年額13,200円
クラウド保存10GB:年額6,600円→ 5ライセンス・50GBの場合は約10万円/年
👉 「現場ごとに何人が使うのか」「写真データの年間容量」を見積もり、
総コストで比較することが必要です。
7. 現場事例をチェックする
カタログスペックだけでは分からないのが「実際の現場での使いやすさ」です。
工数削減効果(例:月40時間 → 月15時間に短縮)
発注者対応のスムーズ化(事前共有で検査が半日短縮)
品質向上(黒板記入ミスがゼロに)
👉 具体的な導入事例や効果数値を確認することで、失敗リスクを減らせます。
まとめ:自社に合った工事写真管理ソフトを選ぶために
工事写真管理ソフトを比較する際は、
効率化・品質管理・電子小黒板対応・コストの4点を軸に選定すべきです。
施工管理者として成長するための3つの実践法
新しいソフトを必ず現場で試験運用する
写真台帳作成の自動化効果を数値で検証する
発注者・協力会社との連携をクラウドで強化する
👉 どのソフトを導入するか悩んでいる方は、まず無料トライアルで比較検討してください。
また、写真管理ソフトを活用して、写真整理を外注することで現場職員の業務量を削減させる、という手段もあります。
現役で土木の元請け工事を行っている建設会社が、全国の建設現場の内業を代行するサービス(カエレル)を展開しています。
外注を検討している方は、是非こちらもチェックしてみてください。
すぐに試せるチェックリスト
✅ 写真台帳作成の自動化機能はあるか
✅ 電子小黒板対応は必須か
✅ クラウド共有で発注者も確認可能か
✅ コストは社内規模に合っているか
✅ 他の施工管理システムと連携できるか
👉 この記事を参考に、自社に合った工事写真管理ソフトを選び、
現場の効率化と品質向上を実現してください。