建設現場のKY活動とは?安全を守る基本知識
- さくら 及川
- 8月20日
- 読了時間: 4分

建設現場では、作業員一人ひとりの安全管理が最重要課題です。
特に建設現場では小さな油断が大事故につながるため、
日常的な「KY活動(危険予知活動)」が欠かせません。
本記事では、KY活動の基本から流れ、具体的手法、課題と改善事例まで解説します。
施工会社の現場経験を交えながら、
読者の方が安全管理に役立てられる内容をまとめました。
目次
KY活動の基本概念と目的
KY活動とは、危険予知活動の略称であり、
作業前に潜む危険を洗い出して共有する取り組みのことです。
建設現場においては、作業の一つひとつが安全と直結するため、
安全管理の基礎として位置付けられています。
建設業におけるKYの目的は、労働災害の未然防止です。
労働災害とは、作業中に発生する事故やケガを指し、
2023年度には全国で1万件以上の災害報告がなされています。
小さなヒヤリとした経験を共有することで、重大な事故を防ぐのがKY活動の意義です。
さらに、KY活動は「全員参加型」の安全管理でもあります。
現場監督だけでなく作業員一人ひとりが主体的に意見を出し合うことで、
リーダーシップとチームワークを育む効果も期待できます。
建設現場でのKY活動の流れ
KY活動の流れは大きく分けて3つのステップです。
1つ目は、毎朝の朝礼や作業前ミーティングで当日の作業内容を確認することです。
ここで「KYミーティング」と呼ばれる時間を設け、危険要因を洗い出します。
2つ目は、黒板やシートを活用して危険を見える化することです。
危険ポイントを書き出し、全員で確認することで、視覚的に注意喚起ができます。
特に足場作業や重機作業では、書き出すことで忘れやすいリスクを防止できます。
3つ目は、全員参加による共有と再確認です。
KY活動は「言葉にする」ことで安全意識が強化されます。
指差呼称で「ヨシ!」と声を出す習慣も、事故防止に直結します。
KY活動で用いる具体的手法
KY活動には様々な具体的手法があります。代表的なのがリスクアセスメントです。
リスクアセスメントとは、危険度を評価し、
リスクの大小に応じて対策を講じる手法のことです。
作業内容ごとに「発生可能性」と「重大性」を点数化し、優先順位をつけて対応します。
次に、ヒヤリハット事例の活用です。
ヒヤリハットとは「事故には至らなかったが、ヒヤリとした出来事」のことです。
これを記録・共有することで、潜在的リスクを顕在化させる効果があります。
また、4ラウンド法や指差呼称などの方法も有効です。
4ラウンド法では、
①危険ポイントの抽出
②原因の追究
③対策の検討
④行動宣言
という流れで議論します。
現場でありがちな課題と改善の工夫
KY活動が形骸化する一因は「記録を残すだけで終わってしまう」点です。
チェックシートへの記入が目的化すると、実際の危険予知が不十分になります。
改善策としては、ヒヤリハットをその場で共有する仕組みや、
外国人技能者にもわかりやすい絵図や写真の活用が効果的です。
また、若手作業員は経験が浅いため、ベテランの実体験を交えた教育が重要となります。
さらに、記録したKY内容を週単位で振り返る会議に活用すれば、
単なる記録から改善の仕組みへと変わります。
現場経験談高速道路工事の現場では、KYシートにイラストを導入したことで、
外国人作業員の理解度が向上し、半年で作業中のヒヤリ事例が40%削減しました。
現役施工会社が語るKY活動の効果
KY活動を継続すると、「声に出す習慣」が身につきます。
これは現場での危険感知能力を高める大きな要因です。
例えば、重機バック時に「人なし!」と声に出すだけで、
接触事故の発生率が顕著に下がります。
実際に、当社が管理したトンネル工事現場では、
声出し確認を導入してから1年間で労災件数が70%減少しました。
こうした効果は数字としても証明されています。
まとめ:KY活動を日常業務に根付かせるために
KY活動は建設現場における安全管理の基本であり、
事故を未然に防ぐ最も効果的な方法です。
施工管理者として成長するための3つの実践法
毎日のKY活動を「声出し」で実施する
ヒヤリハット事例を積極的に記録・共有する
外国人作業員も理解できる方法で危険を可視化する
まとめ
建設現場におけるKY活動は、形骸化させずに実効性を持たせることが大切です。
当社の経験からも、日常業務に根付かせることで
労災を大幅に削減できることがわかっています。
安全は一人の努力ではなく、チーム全体の取り組みから生まれるのです。
すぐに試せるチェックリスト
✅今日の作業内容に潜む危険を3つ以上書き出したか
✅危険に対する具体的な対策を全員で共有したか
✅声出しや指差呼称を実際に行ったか
✅KY活動の内容を記録に残し、週次で振り返ったか