出来形管理と工程管理を連携させる方法|基礎から応用まで解説
- さくら 及川
- 10月6日
- 読了時間: 4分

出来形管理と工程管理をどのように連携させれば効率化できるのか――
現場で多くの担当者が抱える課題です。
本記事では「出来形管理」「工程管理」「連携方法」をキーワードに、
基礎から応用までをわかりやすく解説し、実務に直結するヒントを紹介します。
目次
出来形管理と工程管理の基本とは

出来形管理とは、完成した構造物が設計通りであるかを確認する品質管理の一環です。
寸法、厚さ、強度などを測定し、記録として残すことで工事の品質を証明します。
一方で工程管理は、工期を守りながら効率的に施工を進めるための進捗管理を指します。
作業の順序や人員配置、資機材の投入タイミングを可視化する役割を持っています。
両者は独立した管理項目のように思われがちですが、
実際の現場では深く関わり合っています。
出来形検査の合否が工程計画を左右し、工程の遅れが品質に影響を及ぼすからです。
👉 出来形管理と工程管理を別々に考えるのではなく、「連携させてこそ最大の効果を発揮する」と認識することが重要です。
出来形管理と工程管理を連携させるメリット
出来形管理と工程管理を連携させることで、次のようなメリットがあります。
工事全体の効率化:出来形検査の結果が即座に工程表へ反映され、無駄な作業を省略可能。
コスト削減:再施工を防ぎ、手戻りによる追加コストを削減。
チーム力の向上:情報共有がスムーズになり、現場と事務所の連携が強化。
例えば舗装工事では、
厚さ測定の結果をリアルタイムで工程管理ソフトに反映させることで、
次工程への着手判断を即時に行えます。
これにより工期短縮と品質確保の両立が可能になります。
👉 「品質を守りながら工期を短縮する」ことが、連携の最大の価値です。
現場でよくある課題と失敗例
実際の現場では、出来形管理と工程管理がうまく連携できず、
次のような課題が発生しています。
出来形記録の不備により、検査が通らず工期が遅れる
工程管理表に出来形結果が反映されず、段取りが二重になる
部署間の連携不足で、必要なデータ共有が遅れる
ある現場では、基礎の出来形データを工程計画に反映できなかったため、
資材発注が遅れて1週間の工期延長となった事例もあります。
👉 失敗を防ぐためには、「データの一元管理」と「情報伝達の仕組み化」が不可欠です。
出来形管理と工程管理を連携させる実践ステップ
現場で連携を実現するためのステップを紹介します。
共通プラットフォームでのデータ管理出来形データと工程表をクラウド上で一元管理。
リアルタイム反映測定データをモバイル端末で入力し、即座に工程表へ反映。
可視化ツールの活用BIM/CIMやICT施工データを活用し、進捗をグラフやダッシュボードで共有。
定期レビューの実施出来形と工程の整合性を毎週確認し、問題を早期発見。
👉 小規模現場でも「Excel+クラウド」で始められるため、段階的な導入が有効です。
現役施工会社が教える効率化のコツ
私たちは延べ300現場の内業代行を通じ、数多くの失敗と改善を経験してきました。
その中で有効だった工夫を紹介します。
日次でのデータ更新:工程表は週次ではなく日次で更新することで、出来形との齟齬を防止。
シンプルなルール化:命名規則や報告手順を簡単に設定し、誰でも運用可能に。
アナログ+デジタルの併用:ICTが使えない現場では紙の工程表とクラウドを組み合わせて運用。
👉 現場に合わせた柔軟な方法を選ぶことで、持続的な効率化が実現します。
施工管理者として成長するための3つの実践法
新しいICT施工やBIM/CIM技術に積極的に触れる
出来形と工程の失敗事例をチームで共有する
自社のチェックリストを現場ごとに改善し続ける
まとめ|連携で現場力を高める

出来形管理と工程管理を連携させることは、品質と工期を両立させる最重要ポイントです。
特別なツールがなくても、
データの一元化や日次更新など小さな工夫から始めることで改善効果が期待できます。
私たちは全国300現場の支援を通じ、連携の重要性を強く実感してきました。
経験から断言できるのは、「連携の仕組みを作ることが現場力を底上げする」ということです。
すぐに試せるチェックリスト
出来形データと工程表を一元管理しているか
測定結果を日次で反映しているか
チーム全体でデータを共有できているか
ICT施工やBIM/CIMを一部でも導入しているか
定期レビューで連携状況を確認しているか
👉 まずは1つのチェック項目から取り組み、現場改善を始めましょう。
執筆者:延べ300現場の内業代行サービスを運営する施工会社



コメント