掘削作業の安全対策まとめ|現場ですぐ使える安全教育資料付(閲覧無料)
- さくら 及川
- 5 日前
- 読了時間: 8分

掘削作業は建設現場において最も危険度の高い作業の一つです。
地盤崩壊や酸素欠乏など、一瞬の判断ミスが重大事故につながる可能性があります。
本記事では、現場責任者や作業員の皆様が安全に作業を進めるために
知っておくべき基本的な安全対策を分かりやすくまとめました。
すぐに現場で活用できる安全教育資料もご用意していますので、ぜひご活用ください。
目次
なぜ掘削作業で安全対策が必須か
掘削作業は、建設工事において基礎工事や配管工事などで必ず発生する重要な工程です。
しかし、その危険性は非常に高く、労働災害統計でも毎年多くの事故が報告されています。
掘削作業特有の危険性
掘削作業には以下のような特有の危険が潜んでいます:
地盤の不安定性
地中は目に見えないため、地質や地下水の状態を完全に把握することは困難です。
予期せぬ地盤の軟弱化や崩壊が突然発生する可能性があります。
閉鎖空間でのリスク
深い掘削箇所は閉鎖空間となり、酸素欠乏や有毒ガスの発生リスクがあります。
また、救助活動も困難になります。
重機との接触事故
バックホウなどの重機を使用する際、
作業員との接触事故や重機の転倒事故が発生しやすくなります。
法令による安全対策の義務
労働安全衛生法では、深さ1.5メートル以上の掘削作業において、
事業者に対して土留め支保工の設置や点検などの安全対策を義務付けています。
これは過去の重大事故から得られた教訓に基づくものです。
安全対策を怠ることは、作業員の生命を危険にさらすだけでなく、
企業の社会的信用を失墜させ、法的責任も問われることになります。
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掘削で起きる主な事故と原因
掘削作業における事故の種類を理解することは、効果的な予防策を講じる第一歩です。
ここでは、実際の現場で発生している主な事故事例とその原因を解説します。
1. 土砂崩壊による生き埋め事故

参照:職場のあんぜんサイト
事故の特徴
掘削作業における最も重大な事故が土砂崩壊です。
崩壊した土砂に埋まると、重量による圧迫で呼吸困難となり、
数分で生命の危険に晒されます。
主な原因
- 土留め支保工の未設置または不適切な設置
- 地質調査の不足による地盤状況の把握ミス
- 降雨後の作業継続による地盤の軟弱化
- 掘削面の勾配が急すぎる(安息角を超えている)
- 掘削箇所周辺への過度な積載
2. 酸素欠乏・硫化水素中毒

参照:職場のあんぜんサイト
事故の特徴
深さ3メートル以上の掘削箇所や、マンホール内などの閉鎖空間では、
酸素濃度の低下や有毒ガスの発生により、作業員が意識を失う事故が発生します。
主な原因
- 作業前の酸素濃度測定の未実施
- 換気設備の不備
- 有機物が堆積した地層での作業
- 救助者の二次災害(測定せずに救助に入る)
3. 重機による事故

事故の特徴
バックホウなどの建設機械と作業員の接触事故、または重機の転倒・転落事故です。
主な原因
- 重機と作業員の作業区域が明確に分離されていない
- 合図者の不在または不明確な合図
- 掘削端部への重機の接近
- オペレーターの死角における作業員の立ち入り
4. 地下埋設物の損傷事故
事故の特徴
ガス管、電気ケーブル、水道管などの地下埋設物を破損し、
ガス漏れや感電、断水などの二次災害を引き起こします。
主な原因
- 埋設物の事前調査不足
- 試掘の未実施
- 埋設物の位置確認後の情報共有不足
- 機械掘削から人力掘削への切り替え不実施
5. 墜落・転落事故

参照:職場のあんぜんサイト
事故の特徴
掘削箇所への墜落や、土留め支保工からの転落による負傷事故です。
主な原因
- 掘削箇所周辺の手すりや柵の未設置
- 夜間照明の不足
- 掘削箇所の明示不足(カラーコーンやバリケードなし)
これらの事故は、適切な安全対策と作業手順の遵守により、ほとんどが防止可能です。
次の章では、具体的な安全対策について詳しく解説します。
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掘削作業の基本安全対策
掘削作業を安全に実施するためには、作業前・作業中・作業後のそれぞれの段階で
適切な対策を講じることが重要です。
【作業前の準備】
1. 事前調査の徹底
地質調査
- ボーリング調査等により地盤の性質を把握
- 地下水位の確認
- 土質に応じた工法の選定
埋設物調査
- 関係機関(ガス・水道・電力・通信会社等)への照会
- 既存図面の確認
- 現地での試掘による確認(特に重要箇所)
2. 作業計画の策定
労働安全衛生規則に基づき、以下の項目を含む作業計画を作成します。
- 掘削の方法と順序
- 土留め支保工の構造と設置方法
- 使用する機械設備の種類と能力
- 作業員の配置と役割分担
- 緊急時の連絡体制と避難経路
3. 安全教育の実施
作業開始前に、全作業員に対して以下の内容を教育します。
- 作業内容と危険箇所の説明
- 使用する保護具の確認
- 緊急時の対応手順
- 合図方法の確認
【作業中の安全対策】
1. 土留め支保工の設置
設置基準
- 深さ1.5m以上の掘削では原則として土留め支保工を設置
- 地山の勾配を安息角以下に保てる場合は省略可能
- 土質に応じた適切な構造の選択
点検の実施
- 毎日作業開始前の点検
- 中震以上の地震後、大雨の後は臨時点検
- 変形、亀裂、腐食等の有無を確認
2. 掘削箇所の安全管理
墜落防止措置
- 深さ1.5m以上の掘削箇所には、手すりや覆いを設置
- カラーコーンやバリケードによる明示
- 夜間は照明や警告灯の設置
周辺への影響対策
- 掘削箇所の端から2m以内には重量物を置かない
- 崩壊の兆候(亀裂、湧水等)の監視
- 排水対策の実施
3. 酸素欠乏等の防止
深さ3m以上の掘削箇所では
- 作業前の酸素濃度測定(18%以上を確認)
- 硫化水素濃度測定(10ppm以下を確認)
- 換気設備の設置と継続的な換気
- 酸素欠乏危険作業主任者の選任
測定器具の準備
- 酸素濃度計の携行
- 定期的な測定の実施
- 記録の保管
4. 重機作業の安全管理
作業区域の分離
- 重機作業範囲と人力作業範囲の明確な区分
- 重機作業中は作業半径内への立ち入り禁止
- 誘導員(合図者)の配置
オペレーターの注意事項
- 掘削箇所の端部に近づきすぎない(転倒防止)
- 作業員の位置を常に確認
- バケット等の吊り荷の下に人を立ち入らせない
5. 保護具の着用
すべての作業員が以下の保護具を正しく着用します。
- 保護帽(ヘルメット)
- 安全靴
- 反射ベスト(重機作業時)
- 必要に応じて:安全帯(墜落防止)、保護手袋、保護眼鏡
【作業後の管理】
1. 日常点検と記録
- 土留め支保工の状態確認
- 掘削面の状況記録
- 異常の有無と対応措置の記録
2. 夜間・休日の安全管理
- 掘削箇所の養生と明示
- 立入禁止措置の実施
- 雨水の流入防止対策
3. 定期的な見直し
- 作業の進捗に応じた危険予知活動(KY活動)
- ヒヤリハット事例の共有
- 安全対策の改善
【緊急時の対応】
万が一事故が発生した場合に備えて
- 緊急連絡網の作成と周知(救急、警察、労働基準監督署等)
- 救助用具の準備(ロープ、担架等)
- 定期的な避難訓練の実施
- 二次災害防止の徹底(特に酸素欠乏の場合)
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まとめ
掘削作業における安全対策は、
作業員の生命を守るために絶対に妥協できない重要事項です。
本記事でご紹介した基本的な安全対策を確実に実施することで、
多くの事故を未然に防ぐことができます。
安全管理は「面倒」「コストがかかる」と思われがちですが、
一度事故が発生すれば、その損失は金銭的にも社会的にも計り知れません。
日々の地道な安全活動こそが、最も効率的なリスク管理なのです。
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