DXで人材不足を解消するのは幻想か?ゼネコンが本当に取り組むべき現場改革
- さくら 及川
- 11月10日
- 読了時間: 5分

建設業界の人材不足は深刻です。
DXで人手不足が解消できるという声もありますが、
実際の現場では思うような成果が出ていません。
この記事では「DX」「人材不足」「ゼネコン」「現場改革」をキーワードに、
現場が本当に取り組むべき改革の方向性を解説します。
目次
なぜゼネコンの人材不足は深刻化しているのか
建設業界は今、慢性的な人材不足に直面しています。
特にゼネコンでは、現場監督の高齢化と若手定着率の低下が顕著です。
国土交通省のデータによると、建設技能者の約25.8%が60歳以上で、
29歳以下はわずか約11.7%にとどまっています。

引用:国土交通省
これにより、技能継承の断絶が進み、生産性低下を招いています。
さらに、長時間労働や休日確保の難しさが若手の離職を加速。
給与水準を上げても、働き方の改善が伴わなければ採用効果は限定的です。
現場では「人を増やせない」「ベテランが辞める」「若手が続かない」という
三重苦に直面しています。
この背景を無視して、単にDX導入で解決と考えるのは危険です。
根本原因を理解することが、真の改革の第一歩です。
DXがもたらす「人材不足解消」の誤解
「DXを導入すれば人手不足は解消する」――そう考える経営層も少なくありません。
ですが、現場で多くの施工管理者が口にするのは
「ツール導入だけでは現場は回らない」という声です。
建設DXとは単なるデジタル化ではなく、「業務プロセスの変革」です。
RPAやAIを導入しても、現場の作業フローを変えなければ、“新しい手間が増えただけ”に
なるケースが多発しています。
たとえば、写真管理アプリを導入したが操作が複雑で、
結局は従来の紙記録と併用している現場があります。
これはDXが「現場実態に合っていない」典型例です。
DX=自動化ではなく、現場を活かすツールの最適化であることを
理解する必要があります。
本当に必要なのは「現場改革」―DXの正しい使い方
DXは魔法の道具ではありません。
ゼネコンに求められるのは、「人に合わせたDX」への転換です。
特に施工管理DXを進めるには、以下の3点が重要です。
業務フローの見える化:各現場での情報共有をクラウド化し、
写真・報告書・進捗を一元管理する。
BIM/CIM・ICT建機の活用:施工計画から出来形確認までデータを連携させ、
二度手間を排除。
アナログとデジタルの共存:熟練者の経験値を数値化し、
若手が理解しやすい形で蓄積する。
ゼネコンが優先すべき3つの現場DX戦略
①情報のリアルタイム共有(クラウド施工管理)
現場写真・検査記録・日報をクラウド上で共有し、遠隔から確認できる環境を整える。
これにより、現場責任者が複数現場を効率的に統括可能になります。
②ノウハウ継承と教育DX(動画・AR活用)
ベテラン技術者の作業を動画やARで可視化。
若手技術者が自主的に学べる教育DXの仕組みを構築します。
③安全・品質管理の自動化(センサー・AI検査)
AIによる安全監視カメラや構造物検査の自動化により、ヒューマンエラーの減少を実現。
また、上記の戦略に関して詳しい支援サービスを活用することも効果的です。
当社では、東日本大震災の復興工事をきっかけに、早急に生産性の向上が必須となったため
①情報のリアルタイム共有(クラウド施工管理)にかなり力を入れていました。
現在ではその経験を活かし、全国の建設会社へクラウド施工管理を活用した【業務代行】を
展開しております。
ご興味のある方は下記のリンクから、チェックしてみてください。
DX推進のカギは「現場×人材育成」の再設計
DXを定着させるには、人材育成の再設計が欠かせません。
単にシステムを導入するだけでは、
現場監督や技能者が使いこなせないという壁にぶつかります。
現場に適したDXとは、「現場で自走できるデジタル環境」のことです。
例えば、タブレット1台で全ての情報が確認できる施工管理環境を整えることで、
教育コストも削減できます。
また、DXリーダー人材を育成し、
社内でデジタル推進の輪を広げる仕組みづくりが重要です。
社内表彰や教育プログラムを導入した企業では、
現場効率が約25%向上したという事例もあります。
現役施工会社が実践する「現場改革」のリアル
当社【カエレルサービス】は、
実際に写真整理・帳票自動化のDX導入を支援してきました。
導入前は「写真整理だけで1日2時間」かかっていた現場が、
自動分類システム導入後には30分以内に短縮されました。
また、クラウドで現場間データを共有した結果、手戻り作業が年間で40件以上削減。
ただし、課題もあります。
通信環境が不安定な地域では、オフライン対応機能が必須です。
教育面では、年配社員への習熟支援が鍵となります。
まとめ―DXは「人を減らす」ためではなく「人を活かす」ためにある
ゼネコンのDX改革は、省人化ではなく「人を活かす仕組み」です。
テクノロジーで“人の時間を取り戻す”ことこそが、持続可能な建設現場の第一歩です。
今後の建設業界では、DXによって現場が選ばれる時代になります。
早期に取り組む企業こそ、次世代の競争力を握ることになるでしょう。
すぐに試せるチェックリスト
項目 | 状況 | 改善の方向性 |
現場帳票・日報はデジタル化されているか | □Yes □No | |
写真整理や報告書作成にかかる時間 | □30分以内 □1時間超 | 自動整理ツール導入 |
DX推進担当者(リーダー)の社内配置 | □あり □なし | 教育DXプラン策定 |
若手技術者の育成環境 | □動画学習あり □従来教育のみ | 教育DX導入 |
この記事は、全国300現場の写真整理・内業代行を行う施工支援会社が執筆しました。

現場で培った経験をもとに、実際に使えるDXを追求しています。



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