採用より先にやるべき!建設現場で人手不足を解消する生産性改革の具体策
- さくら 及川
- 11月17日
- 読了時間: 5分
更新日:11月26日

建設業の人材不足は年々深刻化しています。
「求人を出しても応募が来ない」「若手がすぐ辞めてしまう」といった課題を抱える企業は多いですが、実は採用強化よりも“生産性改革”こそが根本的な解決策です。
この記事では、現場経験を持つ施工会社の視点から、
「なぜ生産性改革が人材不足の打開策になるのか」を解説します。
目次
建設業界で深刻化する人材不足の現状
建設業の労働人口はこの20年で約30%減少しました。
特に技能労働者の高齢化が進み、平均年齢は47歳を超えています。
若手の入職者数も減少傾向にあり、2025年には約90万人の人手が不足するとも予測されています。
一方で、再開発やインフラ更新の需要は依然として高く、現場では「人が足りないのに仕事が減らない」という状態が常態化しています。
そのため、限られた人員でどう生産性を上げるかが喫緊の課題です。
なぜ「採用強化」だけでは限界があるのか
多くの企業が「人手が足りないから採用を増やそう」と考えます。
しかし、給与アップや福利厚生の改善だけでは応募増加と定着率の向上が比例しないのが現実です。
現場の業務量と働き方のギャップ
現場では書類作成や写真整理などの内業負担が大きく、若手が「思っていた仕事と違う」と離職するケースが後を絶ちません。
つまり、採用以前に働き方そのものを見直す必要があるのです。
採用コストと効率のバランス
採用広告やエージェント費用などに年間数百万円をかけても、即戦力の確保は難しい状況です。
限られたリソースを「人を増やす」よりも「業務を効率化する」方向にシフトすることで、持続的な改善が可能になります。

人材不足を根本解決する「生産性改革」とは
生産性改革とは、単に効率化を図るだけでなく、現場の仕組みを変える取り組みを指します。建設業では、以下の3つの方向性が注目されています。
ICT活用による業務のデジタル化
ドローン測量、3Dスキャン、クラウド写真管理などを活用し、現場情報をデジタルで一元管理。
これにより報告・共有・確認作業が大幅に短縮されます。
BIM/CIMやプレキャスト化による構造改革
設計段階から3Dモデルを活用し、施工ミスや手戻りを防止。
また、プレキャスト化によって現場作業を減らし、省人化と工期短縮を両立できます。
現場が取り組むべき具体的な生産性改革の方法
施工管理アプリの活用
施工管理アプリを導入することで、黒板写真の自動整理や報告書作成を短時間で完了できます。
当社のクライアントでは、1現場あたり月20時間以上の作業削減を実現しました。
ドローン・自動測量機器の導入
測点確認や出来形確認にドローンを活用することで、測定精度の向上と省人化を両立。
2人で行っていた作業を1人で完結できるケースも増えています。
クラウド台帳と遠隔共有
リアルタイムで写真・資料を共有することで、現場と本社の二重確認が不要になります。
コミュニケーションロスが減り、若手の教育効率も向上します。
生産性改革を進める際の注意点と成功のコツ
生産性改革は「導入して終わり」ではありません。
現場に合わないツール選定や教育不足により、逆に混乱を招く失敗例もあります。
段階的な導入と現場教育
まずは1現場でのテスト運用→全社展開のステップが理想です。
現場リーダーを巻き込み、ツールの操作教育を徹底することが成功の鍵です。
投資対効果の明確化
導入コストに対してどれだけ工数削減できたかを数値で可視化しましょう。
「生産性向上=人材不足対策」という認識を社内全体で共有することが重要です。
【まとめ】採用よりも「改革」で人材不足を乗り越える

建設業の人材不足は今後さらに加速します。
しかし、“採用強化”だけに頼らず、生産性改革を軸にした構造的な変化を起こすことで、長期的な競争力を維持できます。
現場が変われば、人が育ち、人が定着します。
私たちは、延べ300現場以上の内業代行を通じて、「効率化が人材定着を生む」ことを実感しています。
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すぐに試せるチェックリスト
チェック項目 | 状況 |
現場の写真整理・報告書作成に1日以上かかっている | □ |
デジタルツールが複数あり、連携できていない | □ |
現場間・本社間での情報共有が非効率 | □ |
ICT導入の効果を定量化していない | □ |
「人を増やす」方針が中心になっている | □ |
1つでも当てはまる場合は、生産性改革の見直しをおすすめします。
著者情報
この記事は、全国300現場以上の写真整理・報告書作成を代行してきた内業支援サービス企業が執筆しています。
現場経験に基づき、“リアルな改善事例”と“すぐに使える実践ノウハウ”をお届けします。




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